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決算モメンタム手法の有効性検証1_総論

【目的】

決算モメンタム手法が流行している。これは決算発表においてサプライズがあった場合に、上昇であれ下落であれモメンタムが生じることを利用するものである。モメンタムが生じる理由として、下記の説明がなされる。

機関投資家はそのポジションの多さから売買に時間がかかること

②決算のサプライズが新規の投資家をひきつけ、買いの需要がふえることによるもの

 

それではサプライズとはいったい何か?サプライズが生じた銘柄はどれくらいの上昇が期待できるのか?という疑問が生じる。この疑問に答えることが本記事の目的である。

 

【分析手法】

ここではサプライズを「決算発表日終値から決算発表翌日始値で10%以上上昇した銘柄」と定義する。良い決算内容(例えば、業績予想の上方修正)を発表しても、織り込み済みの場合も少なくない。純粋に株価が上昇した場合をサプライズととらえる方がよいと考えた。

 

「どの程度の上昇が期待できるか?」を検証するために、決算発表翌日の始値を起点として、その1か月後、2か月後、3か月後の株価との間のリターンを計算した。例えば、1か月後のリターンの場合は下記のようになる。

1か月後個別銘柄リターン=(1か月後株価終値-決算発表翌日始値)÷決算発表翌日始値

 

また、時期によって市場全体の地合いも異なるため、TOPIXについても上記と同様に計算し、下記の通り超過リターンを計算した。

1か月超過リターン=1か月後個別銘柄リターンー1か月TOPIXリターン

※配当は無視している。

 

このように計算した超過リターンについて分析を行う。

 

【検証データ】

2017年6月から2023年3月に決算を迎えた計78084件。5年分。

同期間の業績予想修正のデータ。

 

【結果と考察】

まず、1Qから4Q別に決算発表で10%以上上昇した銘柄について、超過リターンの平均をとったものは下記の通りである。(図表中の1Dは決算発表翌日の始値から終値のリターン、1Mは決算発表翌日の始値から1か月後までのリターン)

・1DではすべてのQでマイナスとなっている。サプライズ決算が出ても翌日寄りで買うよりは場中に指値で入れるのが効果的と言えそう。

・3Mを見ると、3Qの超過リターンは1Q、2Q、4Qより低い。1Qや2Qでは業績予想修正、4Qでは翌期の業績見込みが発表されるため、サプライズとなった場合はそれが超過リターンにつながると考えられる。3Qは織り込み済みの場合が多いのかもしれない。

次のコラムから、業績予想修正を伴う場合や翌日陰線をつけた場合など細かく見ていくことにする。